2016年10月27日
野麦街道(新島々~橋場番所)
2 コース 上高地線新島々駅ー大野田ー竜島ー橋場
3 所要時間 1時間30分 約5㎞
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断崖崩落の危険で通行止め
野麦街道は上高地線の松本電鉄新島々駅から上流の大野田を経て、旧波田町竜島を通っていましたが、竜島地域はほとんどの人が他地域に移住してしまい、住んでいるのは1名になってしまいました。原因は生活基盤の変化にあったと思いますが、国道158号線が梓川左岸に敷設されたこと、東京電力竜島発電所が無人になったこと、在地の背後が山で手前が梓川で耕地が少ないこと、公共交通機関もないなどが重なって集落崩壊につながったと思います。道は文化の発祥であり野麦街道の痕跡が失われていくことが口おしかったです。しかし、生活環境の良い所へ向かうのも、また必然性かも知れません。竜島はかつて上流の橋場集落ともつながっていましたが、これも竜島地籍で断崖崩落の危険がありとのことで通行止めになっていました。
2016年10月25日
野麦街道(鵬雲崎~橋場番所)
2 コース 鵬雲崎~稲核風穴~稲核~橋場番所
3 所要時間 2時間 約7㎞
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国道158号の東京電力三殿ダム上流に梓川の渓谷が美しい「鵬雲崎」があります。この地に野麦街道の面影漂う馬頭観音がありました。険阻な断崖上の山越えであり苦労が多かったと思います。稲核集落には風穴が何カ所もあり、かつては天然の冷蔵庫として県内外の蚕種冷蔵用などに利用されていました。稲核から先の街道は梓川右岸にありましたが、すでに廃道になっています。安曇支所がある徳本峠入口近くの橋場集落は、松本藩が口止め番所を置いた場所で、梓川の天然の岩盤上に刎橋構造の「雑炊橋」を架けました。どんな洪水にも流されることはなかったとのことで、信濃の国の安曇郡と筑摩郡をつなぐ要衝地でした。現在は斜張橋の橋になっていますが、雑炊橋は恋伝説「お節」と「清兵衛」が雑炊を食べて質素倹約したことがきっかけで橋が架かり名前がつけられたとのことです。橋のたもとに「後の世の人の為ともなりにけり恋故かけし谷川の橋」と謳われた石碑がありました。
2016年10月25日
伊那街道(伊那部宿~宮田宿)
2 コース 伊那市駅~伊那部宿~沢渡駅~宮田宿
3 所要時間 5時間(見学、休憩含む) 約10㎞
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伊那部宿は飯田城下と塩尻宿の中間に位置し、伊那市駅から少し歩いたところにあります。江戸時代に2度の火災にあったため、火災を免れた豪農「井澤家」を除けば宿場の面影は少なかったです。規模は南北に330mに及んでおり、枡形や町屋の形態は留めていて様子は十分理解できました。発足20年が過ぎた「伊那部宿を考える会」の活躍は素晴らしく、旧井澤家住宅の復元活動、案内板や標柱の設置、史跡マップ作り、イベント行事などが活発に行われていて、地域の宝や文化を守ろうとする情熱に感動しました。当日は婦人部の皆さん手作りの、おはぎ、ひじきの煮物などのご接待をいただき、心温まる人情に触れる思いでした。伊那市小出石仏群は、伊那街道沿線で見かける冬の念仏講「寒念仏供養塔」が、伊那市下島の薬師堂や宮田村宮田宿には馬頭観音、庚申塔などの石仏がたくさん残っていました。中山道の脇往還だけあって中馬稼業で繁栄した様子や、庶民の生活文化を石仏を通じて味わうことができました。宮田宿は宿場の面影が薄かったです。(善光寺街道協議会主催 参加者35名)
2016年10月11日
北国街道(追分宿~小諸宿)
2 コース 追分宿分去れ~馬瀬口~平原~小諸宿
3 所要時間 5時間 約14キロ
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十念寺跡に踊念仏の一遍上人碑
追分宿の去れから右手に雄大な浅間山を仰ぎながら標高差200メートルを下って小諸宿をめざしました。御代田町馬瀬口は古い家並みが残っていて往時の面影がありました。馬瀬口は朝廷に馬を納めた牧で、柵口(ませぐち)神社と長泉寺に馬頭観音や馬立像などがあり名残を感じました。御代田町と小諸市の堺の浅間山南西麓は、両岸が垂直に削られた「田切地形」となっています。深い侵食が幾筋もでき、谷底は平坦で田畑になっています。何気なく見ていた風景でしたが、あらためて地域独特の地形を歩いて眺めることができました。小諸市平原の十念寺跡には踊念仏の一遍上人の碑が建っていて、毎年3月に実施している来迎会に使われる仏面は室町時代のもがあり演技の所作は平原独特のものらしいです。踊念仏は仏教的演技の一つで一度見たいと思いました。小諸駅そばの乙女坂に甲州道道標があり、古碑には右甲州道・左江戸海道と刻まれていました。佐久甲州道は佐久、野辺山を経て韮崎宿に至る街道ですが確認できて嬉しかったです。
2016年10月08日
北国街道(岩鼻~坂木宿)
2 コース 西上田駅~岩鼻~鼠宿~坂木宿
3 所要時間 2時間15分 約7㎞
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身にしみて 大根からし 秋の風
しなの鉄道、西上田駅の北に難所の「岩鼻の嶮」があります。岩鼻は上田領と松代領の境界で崖下を千曲川が迫り垂直の壁になっています。街道は崖の中腹を迂回していたとのことですが、加賀藩の参勤交代では、ここを無事通過すると金沢の国許まで使いを走らせたと言われています。岩鼻から間もなく珍名の宿場「鼠宿」があります。幕府公認の宿場ではなく松代藩の私宿でしたが、後に上田宿と坂木宿の中間にある間の宿として栄えました。国道18号線沿いのため面影は少なかったですが、鼠の名前が付いた交通信号機や地区名が残っていて昔日の感を味わいました。坂城町中之条西念寺には松尾芭蕉が詠んだ「身にしみて 大根からし 秋の風」の句碑があります。坂城町はねずみ大根の特産地で「おしぼりうどん」の漬け汁として有名ですが、もう少し時期が遅かったら味わえたのにと残念に思いました。